SEEHOOTPhotographer / Director
Yoichi Onoda

カメラのこと

皆さんは普段、どんなカメラを使っていますか?

今やスマートフォンにも被写界深度やカラーバランスを自由に調整できる機能が搭載され、誰もがカメラマンになれる時代になりました。

だからこそ、写真を生業とする自分にとって、

どのカメラを使うべきかは日々考え、悩むところです。

自分のカメラ遍歴を振り返ると、

学生時代:ニコンF3、ローライフレックス 2.8F
アシスタント時代:ハッセルブラッド 500C/M、リンホフ マスターテヒニカ
独立初期:ペンタックス 67、ニコンD800
独立5年目頃:ライカ M9、M10、SL
現在:ハッセルブラッド 500C/M + CFV II 50C、ライカ M11、SL2

フィルムからデジタルまで、さまざまなカメラを愛用してきました。

その中で、最近仕事でもプライベートでも愛用しているのが、ハッセルブラッド Vシリーズの 500C/M にデジタルバック(CFV II 50C)を組み合わせたカメラです。

ハッセルブラッド500C/Mは、

スタジオアシスタントとして働き始めて3ヶ月ほど経った頃に思い切って購入した、思い入れのあるカメラです。

独立後も数年にわたって愛用していましたが、時代の流れとともにフィルム撮影の継続が難しくなり、しばらくの間は機材庫に保管していました。

仕事では主にニコンDシリーズやライカSLシリーズといったデジタルカメラを使用してきました。

しかし、便利で快適な反面、あまりにも情報量が多く写りすぎるというか、

カメラの性能に頼りすぎているような感覚がありました。

学生時代、モノクロフィルムで撮影し、現像所から上がってきたフィルムを暗室で印画紙に焼き付ける。

現像液に浸して、像が浮かび上がってくる瞬間。

その感動が好きで写真を始めたはずなのに、デジタルカメラの発展とともに、いつの間にか便利さにどっぷりと浸かっていました。

「このままではいけない」と危機感を覚えたときに出会ったのが、

フィルムカメラのハッセルブラッドにオリジナルのデジタルバック CFV シリーズです。

フィルムカメラ本来のデザインや操作感をそのままに、

デジタルの技術を融合させたカメラ。

1カット撮影するごとにシャッターを巻き上げる必要があり、ピント合わせにも時間がかかります。

その分、その過程がじっくりと被写体と向き合う時間を生み出し、

撮影への集中力を高めてくれます。

視線、構図、光の入り方。シャッターを切る前に、あらゆる要素を考える。

このプロセスが、自分の写真への向き合い方をより深めてくれています。

 

撮影するたびに、自分が何を撮りたいのか、

どの瞬間を切り取るべきかをじっくり考えるようになる。

そうやって撮った1枚の写真は、ただの情報や記録ではなく、

自分の意図や気持ちが込められた作品になります。

この感覚は、フィルムカメラを使っていた頃の写真への向き合い方に通じるものがあります。

デジタルバックを使用することで、フィルムカメラの良さとデジタルの利便性を両方楽しむことができます。

撮るたびに新鮮な驚きがあり、改めて写真を撮る楽しさを実感させてくれる、

今の自分にとって、これ以上しっくりくるカメラはないのではないかと感じています。