昨年10月、 写真集「静物画」の巡回展示を行いました。
場所は「cont」という、名古屋にあるデザインショップです。
お店は、sheepのソイキャンドルブランドをはじめ、代表の山川立真さんが選び抜いた作家さんの器やプロダクト、アート作品などのほかに、
展示を行えるギャラリースペースがあり、さまざまな展示を企画されています。
また、ソイキャンドルを制作されているアトリエや、お茶を飲める喫茶スペースもあります。
昨年10月、 写真集「静物画」の巡回展示を行いました。
場所は「cont」という、名古屋にあるデザインショップです。
お店は、sheepのソイキャンドルブランドをはじめ、代表の山川立真さんが選び抜いた作家さんの器やプロダクト、アート作品などのほかに、
展示を行えるギャラリースペースがあり、さまざまな展示を企画されています。
また、ソイキャンドルを制作されているアトリエや、お茶を飲める喫茶スペースもあります。
展示の視察に初めてお店を訪れたとき、あまりの素敵な空間と商品の数々に、
当初の目的を二の次にして、沢山買い物をしてしまったのを覚えています。
山川さんとは、以前にtamituというはちみつのブランディングのお仕事でご一緒したことがあり、アートディレクターとして、とてもご活躍されていることは知っていたのですが、他にもソイキャンドルの制作、お店やギャラリーを運営されていること、その活動の広さ、また世界観のクオリティの高さに圧倒されました。
“ 山川さんとは一体何者なのだろう? ”
そんな素朴な疑問から今回改めてお店を訪ね、ソイキャンドルを作ることになったきっかけや「cont」の立ち上げ、また日々のデザインのお仕事について、山川さんにお聞きしました。
山川さんは、凸版印刷でアートディレクターとして働いていたとき、
主に食品のカタログ制作のお仕事をされていたそうです。
そこでヴィーガンやマクロビの先生に出会い、
ご自身の食生活も健康的に変化していきました。
食事を変えて数ヶ月すると、よく使用していた海外製のキャンドルの匂いが気になるようになりました。
調べてみると、あまり体に良くないということが分かり、
独学で天然素材のキャンドル作りを始めます。
はじめは自分の食事中に使うためにつくり始めたということですが、
次第にその活動が人づてに伝わっていき、
少しずつソイキャンドルの販売をするようになっていったようです。
そして、ソイキャンドル作りをはじめて約2年後に独立された山川さん。
出だしは意外にも決して順風満帆だったわけではなく、顧客がいない状態での独立などで、当初はとても大変だったそうです。
ソイキャンドルの活動では、
多くの人が訪れる、イベントやマーケットに出店しようと、
当時名古屋で一番大きかったマーケットに出店しました。
そして “ここで一番になろう”という目標を定めました。
大きなマーケットではあるものの、机の上に布を引いただけの簡素なブースが多く、そこに目をつけた山川さんは知り合いのデザイナーに頼んでひときわ目立つブース作りをし、お客さんに足を止めてもらうようにしました。
次第にキャンドルをお店に置きたいという依頼だけでなく、デザインのお仕事も
一緒に依頼される事が増えていき、
これが自分の強みなんだと、山川さんは再認識されたそうです。
また、全国のイベントに出店していく中で、
まだまだ無名でも、とても素晴らしい作り手達とたくさん出会い、
それらの作品を紹介できる場所を作りたいという想いから、
2017年に自身のアトリエに併設する形でsheepのソイキャンドルと、
自身でセレクトした作品やプロダクトを紹介するお店「cont」をはじめました。
お店の名前である「cont」とは、contradiction(矛盾)、contrast(対比)
という2つの単語を掛け合わせてできた造語です。
それは、社会の矛盾の反対側に立ち、フラットで表裏のない消費体験を提供するため、商品のカテゴリーや規模、地域に関わらず、
フラットな目線で物の価値を再提案し、
あらゆる境界線を無くしていきたいという想いがこめられているそうです。
オンラインショッピングが当たり前になった現在において、なぜここまでお店作りにこだわるのか、山川さんに理由を訪ねたところ、
“ お店の存在意義は、お店でしか得られない体験を提供することです。音、香り、味など、五感を刺激することで感動を伝え、お店に来てくださった方に思い出や感動を残すことが目的です。
また「競争をしない」という姿勢で、他のお店との差別化を図るのではなく、
純粋に自分たちの個性や思いを大切にし、表現しています。
そして、「cont」をやることは、デザインの仕事にも繋がっています。
「cont」に来てもらい、店内や商品、ギャラリーを見てもらうことで、
クライアントにとって重要な「世界観」を把握していただくことができ、
その世界観を元にブランディングの仕事につながっています。
お店作りからブランディングの仕事をするということは、
「cont」自体がクライアントへのプレゼンテーションの場所として機能しています。
結局のところ、キャンドル、お店、デザイン、全てが繋がっているんです。 “
山川さんは、今まで一度もデザインの営業をしたことがないそうです。
それでもたくさんの素晴らしいブランディングのお仕事をされ、
日々デザインの仕事に従事しています。
それには少なからず理由があって、お店やソイキャンドルでSHEEP DESIGN世界観を日々アウトプットしていること。
そして、それ以上に山川さんの為人がそうさせるのだと感じました。