SEEHOOTPhotographer / Director
Yoichi Onoda

SNS映えしない写真

「昨年末から今年の1月、2月にかけて、SNSを投稿することはもちろん、見ることすらほとんどできない状況が続いていました。

年末年始の仕事やプライベートの予定に追われ、気づけば精神的にも肉体的にも疲れが溜まっていたように思います。

特に、自分の場合は日々写真やカメラに関する情報が流れ込んでくるため、
SNSを開くたびに膨大な情報が押し寄せ、油断するとそれに圧倒されてしまいます。

もちろん最新の写真トレンドやクライアントのニーズ、カメラ機材の新しい情報を得ることは非常に大切であり、業界で生きていくためには欠かせないことです。

新しい視点やアイデアを得るためには、流行に敏感でいることが必要不可欠だと思います。

ただ、日々流れ込む情報に無自覚に追われているうちに、「自分が本当に表現したいものは何なのだろう?」と感じるようになりました。

SNSから少し距離を置いてみて改めて感じたことは、情報の波に流されるだけでは、自身の本質を見失ってしまうのではないか、ということに気がつきました。

 

自分が向き合う対象は、特別なものではなく、どこにでもある風景や物、人々です。

派手で目を引く表現や、いわゆる「SNS映え」するようなものではなく、日常の中にある何気ないものを少しでも魅力的に捉えることができることを大切にしたいと考えています。

日々の生活の中にこそ、美しさや価値があると感じます。それを写真という形で表現することが、自身にとっての写真の本質だと思っています。

修行時代、写真の師匠からいただいた言葉があります。

「何でもない風景を美しく撮れるカメラマンになりなさい。」
その言葉は今でも心に深く刻まれており、派手ではないけれど、静かに心に残るような写真を撮ることを大切にしながら、これからもその道を歩んでいきたいと考えています。